当研究室について | Process Mechanics Laboratory


研究室の概要

 当研究室は,大阪大学 大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻 生産科学コースおよび工学部 応用理工学科 マテリアル生産科学科目 生産科学コースに所属し,熱加工,機械加工,複合加工などの材料加工において,プロセスメカニックスを駆使した材料科学・プロセス物理・力学設計の融合を図り,加工プロセスシミュレーションモデルの開発とそれによる加工部特性予測,製品対応プロダクトモデルへの展開を目指した教育と研究を行っています.
 研究テーマの概要は次の通りです(大阪大学 工学部白書).各研究テーマの詳細については,「研究テーマ」もご覧ください.
プロセスメカニックス領域(望月研究室).png

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研究室の変遷

1964(昭和39)年〜:溶接工学科 第三講座・溶接力学講座

 本研究室は,1964(昭和39)年,マテリアル生産科学専攻 生産科学コースの前身である溶接工学科が4講座体制から8講座へ改組拡充されたことに伴い,溶接に関連する力学的問題を取り扱う学問分野の「溶接力学」に関する研究と教育を行うこととして設置(第三講座・溶接力学講座)されたもので,設立と同時に教授佐藤邦彦が担当し,研究・教育活動を開始している.
 設立当初は,溶接工学の一つの分野を担う「溶接力学」の基盤分野として,溶接という熱加工過程での熱応力・残留応力,更には溶接変形に関する体系的研究が行われるとともに,溶接応力が大きく関与する鋼溶接部の低温割れの力学的評価に関する研究が世界に先駆けて始められ,溶接継手の「拘束度」という概念の導入と,「溶接拘束割れ試験(RRC試験)」の提案と評価手法の確立を目指した研究を行われた.本講座で新しく考案試作されたRRC試験機は溶接低温割れ評価試験法として国内外で用いられる流れを作った.このような溶接低温割れの研究は,わが国の構造用高張力鋼の開発と時期を同じくし,その材料開発指標の解明によって高張力鋼の利用に大きく貢献するものであった.また,本講座創設後間もなくして,溶接力学のもう一つの大きな柱である溶接継手の強度と破壊に関する研究が始められ,特に,溶接部の持つ最大の特徴である不均質性に注目した研究は,現在の本研究室の大きな柱の一つである「不均質材力学」の原点であった.まず,溶接継手の静的強度に注目した研究が始められ,溶接金属の強度が母材より小さい「軟質溶接継手」に関する研究は大きな注目を集めるものであった.また,溶接継手がもたらす形状の不連続性の影響に関する基礎的研究も始められ,その代表である隅肉溶接継手の静的強度に関する研究が行われ,隅肉継手の強度評価式が確立された.
 その後,溶接残留応力・溶接変形に関する研究とともに,もう一つの柱である溶接継手の破壊強度に関する研究が活発に行われるようになり,「破壊力学」を基礎に「不均質破壊力学」の確立への萌芽的研究が始められた.本講座での破壊に関する研究は,一貫して溶接部の持つ不均質性に注目したものであり,構造破壊強度と不均質性の関係を取り扱う研究の流れを作ったものであった.現在,30年あまり後になっても世界的に注目され続けている "溶接継手のミスマッチ (Mis-Match)" 研究の先駆的研究であった.また,溶接継手及び溶接構造物の強度評価に信頼性工学的評価の導入に関する研究が行われ,特に非破壊試験の欠陥検出確率・検出精度を考慮した構造破壊強度評価手法の確立と,それに基づいた新しい非破壊検査システムの開発などが行われ実用システムとして活用されている.
 その間,1972(昭和47)年5月に本学に溶接工学研究所が新設され,佐藤邦彦教授は研究所へ2年間ほど配置換となったが,引き続き講座担当教授を併任し,溶接工学研究所との共同体制で活発な研究が引き続いて行われた.また,1987(昭和62)年4月に溶接工学科が発展的に生産加工工学科と学科名称変更されるまで,「溶接力学」を基盤とした研究・教育が行われ,溶接力学現象,溶接継手強度評価,溶接構造強度評価とその基礎である,弾塑性力学,材料強度学などの関連科目の教育を学部・大学院において行った.

1987(昭和62)年〜:生産加工工学科 材料構造強度学講座

 生産加工工学科に名称変更後は,本研究室は「材料構造強度学」講座として,「加工材料及び工業製品の性能評価のための材料強度・構造強度に関する基礎理論と応用理論に関する領域の教育と研究を行う」ことになったが,研究の基本的流れは従来の成果を発展的に引き継ぐものであった.
 1988(昭和63)年3月,佐藤が停年退官後は,本研究室は1989(平成元)年7月から教授 豊田政男が担当し,引き続いて「不均質材力学」を基本とした新しい材料・構造強度評価工学の確立を目指して,「不均質材破壊力学」と異材接合界面強度評価を取り扱う「インターフェイスメカニックス」を柱に据えた研究・教育体制が取られた.主な研究分野は次の三つの分野,(1)不均質材破壊理論の確立:不均質による応力・歪の不均一場での破壊条件の普遍化と新しい評価パラメータの提案,(2)不均質材強度評価手法の開発:破壊性能のための試験法とその指標パラメータを明確にした具体的展開,(3)不均質特性及び界面特性制御の展開:不均質を積極的に利用する新しい材料・構造の開発の基本的考え方のノリッジウエア,であった.

1997(平成 9 )年〜:生産科学専攻 機能化設計学講座 構造化強度学領域

 1997(平成9)年4月には,大学院重点化に伴い生産加工工学科は生産科学専攻に改組され,その中にあって,本講座は機能化設計学大講座で構造化強度学領域を担当した.この中で,溶接・接合構造体の構造健全性の評価に関連して,不均質材の強度評価力学,構造性能確保のための最適材料選択,動的荷重下での応力・歪応答と破壊強度評価,異材接合体界面強度評価など,知的構造化を支える強度評価手法の確立とその応用に関する教育と研究を行った.

2005(平成17)年〜:マテリアル生産科学専攻 構造化デザイン講座 構造化設計学領域

 2005(平成17)年4月には工学研究科内で大幅な組織再編があり,いわゆる旧・冶金と溶接生産が一緒になり,「マテリアル生産科学専攻」という新しい専攻が誕生した.この中で本研究室は,「構造化デザイン講座 構造化設計学領域」という名称の下で,これまでの研究・教育を発展的に展開し,大講座としての「材料の特性を活かす構造化と先進構造の知的創造のための,設計・シミュレーション,熱加工・施工,破壊制御・構造安全性評価など,ミクロからマクロに至る構造機能化設計および評価手法の構築」をターゲットに,素材から要素部材さらに構造物を造り上げる「ものづくり」のプロセスにおいて,材料の加工・施工特性や使用条件の影響などをトータルで考えた構造化設計・施工システムの構築を図ることを目指した教育と研究を行った.豊田政男教授は2004(平成16)年4月から4年間,工学研究科長・工学部長を併任したが,2008(平成20)年3月に部局長の任期満了とともに定年退職した.

2009(平成21)年〜:マテリアル生産科学専攻 構造化デザイン講座 プロセスメカニックス領域

 その後,2009(平成21)年10月には望月正人が准教授から教授に昇任し,「構造化デザイン講座 プロセスメカニックス領域」という新しい領域(研究室)において,これまでの研究・教育をさらに大きく展開,さらには新しい学問分野の開拓に挑戦することを目標に,熱加工,機械加工,複合加工などの材料加工において,プロセスメカニックスを駆使した材料科学・プロセス物理・力学設計の融合を図り,加工プロセスシミュレーションモデルの開発とそれによる加工部特性予測,製品対応プロダクトモデルへの展開を目指し,日々の教育と研究を行っている.